<オリジナル・キャリヤ製作風景>
<製作するきっかけ> この自転車で旅に出たくなったのです。きっと広くすばらしい空の下、素敵な出会いをこの自転車が作ってくれるだろう・・そう考えました。そして手っ取り早く既製品を改造して取り付けてみました。アルミ製のMTB用のモノなどいろいろ試してみましたが、どれも機能的にも、外観もグッと来るものがありません。さてどうしたものかと頭を抱えていたのですが、自転車がとびっきりヘンなデザインですから、これはもう作るしかないとやっちゃいました。バックは市販されているモノをベースに金具や取り付け方法を見直し、ロゴを入れました。帆布製のバックは木のフレームに良く似合います。
材料はステンレス・SUS304のマル棒7mmを使用しました。写真は巻き上げ接合をするために加工箇所を半マルに削り加熱しているところです。加熱にはプロパン・エアー混合バナーを使用しています。
鉄は加熱してやることでとても柔らかくなります。ココまで来ればもうステンレスも飴細工のようです。しかし加工箇所ぎりぎりにしか材料がないと掴むのが大変ですから少し長めにしておき、曲げ終わったら削り取るようにすると上手くいきます。
終端はマル棒を削り始めたところに沿うように戻してやれば曲げ完了です。ここまで巻き付けてやれば溶接しなくても、ロウ付けで十分な強度が出ますが、今回はTIG溶接で仕上げました。
パーツはその都度、図面(原図)どおり曲がっているか確認しますが実物に良い曲線が出たときは図面を修正したりします。だって立体の実物が良いカタチをしていたらそれが一番イイ事ですからね。ただ左右の寸法を合わせるのが大変苦労します。特にくねくねと曲がったデザインが工程を3倍にも4倍にもしてしまいました。

<TIG溶接解説>  図面に描いた線がどんどん立体になっていきワクワクしてきます。小さなパーツが出来上がって溶接していきます。アルゴン溶接というヤツです。TIG溶接ともいいますがこれは(Tungsten Inert Gas Weldig)の略です。タングステン電極と母材の間にプラズマを発生させ低電圧高電流を与え母材を局部的に加熱。その温度は1万度を超え、もちろんステンレスは水飴を通り越し水のようになります。どうしてガスがいるかと言うと、空気中で溶接してしまうと酸素と仲のいい金属が熱くなって酸素とイイ関係になってしまう。それを不活性ガス、アルゴンガスやヘリウムガスで酸素が高温状態の母材に近づかないようにします。宇宙や真空環境ではこのガスは必要ありません。ガスは直接に熱源等にはなりませんので、ガス溶接には含まれません。
小さなパーツ溶接して組み立てていきます。カタチは変更されていても取り付け穴の位置などは図面に従わなくては自転車に付かなくなってしまいます。
今回デザインでテーマにしたのは曲線の流れを殺さないよう苦労しました。突き合わせでの溶接を嫌い巻き付けてみました。そして溶接も接合部分の下側、見えないところで溶接したので線が生きています。出来上がったキャリアは筆で描いたスケッチのようです。
リヤ・キャリアのシートピラーへ伸びる取り付けロッドの固定は、ジュラルミンを削りだしたクランプでステンレスロッドを固定します。長さ調整が可能でしかもナット1つで確実に固定が可能です。
以前、革グリップを造った時に欲しいと思い「焼き印」を製作しました。大小2つ造り、嬉しくていろんなモノに押しまくりました。靴や、サドルの革製品、道具の柄や箱、食パンにも押してみましたがイイ感じです。アッという間に工房の道具のほとんどに[kinopio]とロゴが焼かれました。写真ではバーナーを使用していますが、家庭のコンロでも十分ですよ。

ひさしぶりに溶接したら腕が鈍っていました。この2年前にJIS検定の一番難しい試験をパスしたはずなのに・・日頃からやってないとビートがなかなか揃わないのですね。
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